大学生になって初めての連休に平泉に行った。一人で遠くへ行くのは，それが初めてだった。自由の喜びにわくわくしていた。高館にのぼった。遠い昔芭蕉の見たであろう景色が広がっていた。ほかには誰もいなかった。しばらくそこで若葉を揺らす風の音だけを聞いていた。

学生の頃，何度か北海道へ行った。北海道へは，青森から青函連絡船で行った。４時間くらいかかったと思う。２等船室に雑魚寝した。平気だった。自由がうれしかった。

大学生の時，博多に行って初めて「とんこつラーメン」を食べた。「とんこつ」は当時全国区ではなかったのだ。おそるおそる食べた初めての白いラーメン。おいしかった！　レアだったことがちょっと懐かしい。

広島県と言ったら，私にとってのNO,1は，「しまなみ海道」だ。これまで訪れた地の中でまちがいなく私のトップ10に入る。左右に広がる海と島々。開放感。「最高！」以上に表現する言葉は出てこない。

徳島から大鳴門大橋を通って，高速バスで京都まで行った。バスで四国から京都まで行けるんだなあ。海の上に架けられた大きな橋。左右にいっぱいに海を感じ，海の上を渡る爽快感は，すばらしい。

鹿児島に初めて行ったとき，「ああ，鹿児島は，海なんだ」と，思った。数々の離島。ニュースには，海にまつわる人々の営みが日常のあたりまえとして出てきた。フェリーから見える桜島は美しかった。桜島から見る鹿児島の街並みもすばらしかった。

高校生のときに母と二人で京都旅行をした。母は，私が高校生になると，ビル清掃のパートを始めた。その収入を自分の好きなようにつかえることがうれしかったようだ。何十年たっても，母はそのときの旅行を覚えていて楽しそうに語る。私にとっても初めて自分で調べて計画を立てた旅行だった。

鳥取県といえばやはり鳥取砂丘だ。真夏に行った。朝6時に砂丘を歩いた。歩いて歩いて歩いて歩いてたどり着いたのは，もう二度と出会えないだろうと思えるくらいの海と空と砂丘の青と青と白の美しい光景だった。

沖縄県には行ったことがない。47都道府県中行ったことのないあとわずかの一つだ。
沖縄，行きたい！　離島に行きたい！　美しい海に入りたい。

阿蘇の草千里。どこまでも続く草地の緑が美しかった。そして，中岳の噴火口。その壮大さに，ただただ圧倒された。

大学生の頃，唐津を一人で歩いた。唐津城，唐津焼，唐津くんち。唐津くんちの曳山に心惹かれた。伝統が街の中で生きていることに感動を覚えた。

秋田と言えば鳥海山だ。秋田富士と呼ばれることもある標高2236mの美しい単独峰だ。学生時代３度ほど頂上まで登った。5時間半歩いて登って見た雲海のすばらしさは忘れられない。